2007年11月16日金曜日

培養細胞をなめんな!!

培養細胞。

人やマウスといった動物の、正常なあるいは病気(ガンなど)の組織を、基本的には単一で取ってきて実験で使えるようにしたもの。

マウスやヒトを使った実験に比べて、簡単に短期間で実験を行うことができる。
(こういう実験をin vitro(試験管内での)実験という。)

培養細胞で得られた結果をもとに、動物やヒトへ実験が発展してゆく。
in vitroに対して、動物を使用する実験を、in vivo実験という。
(必ずしも培養細胞での結果とその後の実験結果は一致するというわけではない)


例えば薬の開発でも、最終的にはヒトに投与するが、
その前はマウスなどの動物、さらにその前に培養細胞による実験が何度も繰り返される。






話を戻して、、、培養細胞。

細胞なので当然分裂する。

が、細胞によっては分裂回数に限界がある。いってみれば細胞の寿命。

また、たとえ半永久的に分裂できても、何度も分裂を繰り返すうちにその性質が変わることもある。
(分化または形質転換とか言う)


そう。我々が日々年老いていくように、培養細胞にだって寿命がある。



生き物なんだから。







そう!







培養細胞は生き物なんだ!!!




そんな『生き物』である細胞を、僕等は毎日のように(少なくとも3日に1回)はその状態・・・

無駄に細胞が死んでないか、
細胞の形体に変わりは無いか、
細菌の繁殖が無いか(バクテリアが繁殖するので『バクる』。これ業界用語)、
培養液のpHは正常か、
細胞が増えすぎて窮屈になってないか・・・。


などなど、日々確認して、問題あればその都度対応する。




例えて言うなら。


子供を持つ方々、



百歩譲って
ペットを飼っている方々。



そのペットがご飯ちゃんと食べているか、
顔色はどうか、
足取りはどうか、
怪我してないか、


もっと言えば、便の色や状態はどうかなどなど、ちゃんと観察するでしょ!?
もし病気かなと思ったら、取り返しがつかなくなる前に対処するでしょ!!??
それでもだめなら、獣医さんとかに診てもらうでしょ!!!???





細胞を扱う研究者なら、『細胞を可愛がる』という精神が必要だと私は思う。

そこまで言わなくても、
細胞は実験に欠かすことができないもので一種の『財産』だと捕らえ、大切に扱うべきだ。








だのに!!!!!(前フリ長っ。)








共同研究者(その方の専門は化学もしくは物理)からの依頼(メールより一部改変)。

~其の一(今から3年前)~
細胞がバクってしまいました。すいませんが、また取りに伺ってもよろしいでしょうか?


(心の声)『うーん。まぁ培養経験初めてだし仕方ないか。』
と、細胞を提供する。




~其の二(その約1ヶ月後)~
何だか、いただいた細胞を培養しているうちに調子が悪くなってしまいました。
申し訳ありませんがもう一度いただけませんか?



(心の声)『・・・。まぁ、まだ経験が、、、ね。』
と、再び細胞を提供。
一応断っておくが、同じ細胞を培養していたが、こちらの細胞は全く問題が無し。

なお、扱っている細胞は、数ある細胞の中でも培養方法は簡単な部類に入る。




~其の三(その約1年後)~
こちら(共同研究先)でも、久々に細胞使って実験をしようと思います。
細胞いただけますかぁ?




(心の声)『・・・・・・・・。あげたはずですが。きちんと培養してなかったのかな。使わないなら、凍結しておけばいいのに、やり方知らなかったのかな。』

ちなみに、ある特殊な液体で細胞を液体窒素で凍らせておけば、
形質転換なども起こることなく半永久的に使用できる。
休眠状態とでもいいましょうか。
実際、解凍してもういちど使える状態にすることを『細胞を起こす』とも言う(業界用語・・・、多分)

なお、普通に毎週トレーニングすれば、三ヶ月、、、半年もあれば誰でもできるようになる。






そして、今日。





~其の四~
また細胞がこちらの不手際もあって調子がイマイチです。
実験をしてみたのですが、これまでの結果と違います。
なので、例の細胞をもう一度貰えませんか?

~中略~
(色々問題が出ている点について書かれている)

ともかく,ちょっと手持ちが信用ならなくなってしまいましたので宜しくお願いします。





信用できないのは


お前らの細胞に対する精神と腕じゃ!!


ボケ!!!!









細胞は物とはわけ違うんです!!!!

この細胞を樹立(冒頭部分で述べた、培養細胞として利用できる状態にすること。)するのに、
どれだけ手間と時間がかかってると思ってるんだ。

それなのに『手持ち』て。。。










細胞を扱う研究者の皆さん。


『生き物を大切に・・・。(○共○告機構じゃないよ)







と、ここまで長々書いたものの、
これを研究とは縁の無い一般の人が読んだらどんな感想になるんでしょうか。


それはそれで興味があるので、ここまで一生懸命読んでくださった皆さん、

申し訳ありませんがコメントをお寄せくださいまし。。。。

研究に携わっている方々からのコメントも、あわせてお待ち申し上げております。




最後に、
少々不適切な発言がありましたことをお詫びいたします。
あくまで心の中の発言ですので、ご勘弁を。
m(_ _)m

5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

一生懸命ぜんぶ読みましたぁ。
maccoさんがいかに培養細胞に愛情を注いでいるか、とっても伝わってきました。
まあ、あちらの不手際と認めているだけまだかわいいではないですか。
でも私なら、「こっちの手持ちも駄目だから、自分で何とかしてー」って言って、あげないようにしますね。

35歳日本男児 さんのコメント...

匿名さん

熟読(?)&コメントありがとうございます。

例の細胞ですが、実は研究室が引っ越ししたこともあって、現在はこちらでも凍結中なんです。

なので、
『細胞を起こさなければなりませんので、他の実験の合間にできたらご連絡しまーす。』

と言って少し霧がくれしようかとたくらんでおります。

匿名 さんのコメント...

同じ研究室にいたruccoです。
当時もそうだったけど、現在もプライマリー細胞(動物・ヒトから直接とって単離したもの)ばっかり使っているので、ライン細胞(ずっと飼えるように調整したもの)くらいわけてあげてもよい気がします。
やる気のない人に、正しい操作を教えても取得しないので、、、、

ちなみに「バクる」は会社では全く通じませんでした。「コンタミ」がやはり一般的なようです。

以上!

匿名 さんのコメント...

あひー
匿名さんになってますね。
スミマセン。ワタクシです。

35歳日本男児 さんのコメント...

ruccoさん

いや、本文は4回ですが実際は10回以上渡しているんです。

少しは、何でかなぁ?とか、凍らせておこうか、とか工夫して欲しいなぁと思ったわけです。

共同研究先でしかも同じ大学なので、別に問題は無いですが、これが他大学やましては海外の研究者との間で同じことが起こると結構失礼というか、恥ずかしいかなとも思いますし。

あと、『バクる』なんですけど、学会で関東ではない大学の研究者も言ってたので万国共通なのかと思ってましたが、そうでもないのかもしれません。。。

『言ってる人は言っている』くらいにとどめておきます
m(_ _)m


makiさん

やはりmakiさんでしたか。立ち上げたばかりなのに匿名で知らない方からのコメントで驚きました。(笑)